有酸素運動の効用

有酸素運動の効用~心肺機能の改善で認知機能も向上します

高齢の方々には心肺機能と認知機能が関連しているということが良く知られています。

記憶力などの認知機能を保つためには、脳トレで脳を刺激することも効果的ですが、身体を良く動かして心肺機能を維持することも重要になります。

アメリカの大学医療機関の研究グループは、57歳から75歳の高齢者40人近くを対象に、有酸素運動を12週間続けた群としなかった群に分けて、認知機能・安静時脳血流・心臓血管機能を運動前後で比較したそうです。

運動をした群の高齢者には、自転車型運動器具や室内ランニング器などの有酸素運動が出来る機械を使って、週3回、1回1時間の運動を12週間継続してやらせました。

その結果、有酸素運動をした群は、しない群に比べて有意に記憶力が改善されていました。

脳の血流を特殊なMRI(磁気共鳴画像化装置)で測定すると、認知機能の改善は脳海馬体への血流量の増加と相関することが分かりました。心血管系の機能も同時に改善していることから、研究チームは有酸素運動をしたことで心臓の機能が改善し、それに伴い脳の海馬体への血流が増加することにより認知機能が改善したと考えています。

膝関節症といった膝の問題を抱えている高齢者は多いし、ランニングなどハードな有酸素運動が出来ない高齢者も多いでしょう。しかし、速歩程度のウォーキングでも心血管機能が向上し、脳の海馬体の機能が改善する効果は期待できるのです。

これまでも汗ばむ程度の速歩を推奨してきましたが、心拍数がある程度上昇する速歩で認知機能が保持できる可能性は高いし、認知機能を保持するだけでなく、骨も強くしなければならないので、できれば外出して日光浴を楽しみながらウォーキングや速歩をすることを心がけたいものです。

(毎日新聞夕刊 12/26/2013)

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